東洋医学の用語『病機』とは？

東洋医学の用語『病機』とは？

病機とは何か

病機とは、東洋医学において、疾患の発生および進行の機序を指します。病機は、病因、病理、症状の3つの要素から構成されています。病因は、疾患を引き起こした原因であり、病理は、疾患によって引き起こされた身体の異常な状態であり、症状は、患者が自覚する異常な状態のことです。

東洋医学では、病機を理解することで、疾患の診断や治療を行うことができます。病機の診断は、患者の症状や身体の状態を問診や診察によって調べ、病因や病理を推測することで行われます。病機の治療は、病因や病理を改善することで行われ、薬物療法、鍼灸治療、漢方治療などが用いられます。

東洋医学の病機という概念は、西洋医学の病因論とは異なるものです。西洋医学では、疾患の原因は細菌やウイルスなどの病原体であると考えられていますが、東洋医学では、疾患の原因は、内因性要因と外因性要因の相互作用によって生じると考えられています。内因性要因とは、患者の体質や精神状態などの内部的な要因であり、外因性要因とは、細菌やウイルスなどの外部からの要因のことです。

東洋医学の病機という概念は、疾患の理解や治療に役立つ有用な概念です。病機を理解することで、疾患の診断や治療をより正確に行うことができます。

病機の分類

病機の分類

病機は、その性質や発生する部位によって、様々な分類が可能です。ここでは、病機の主な分類をご紹介します。

1. 病邪による分類

病機は、その原因となる病邪によって分類することができます。病邪とは、人体に侵入して疾病を引き起こす外因性または内因性の有害な因子です。主な病邪としては、

・六淫（風、寒、暑、湿、燥、火）
・疫癘（感染症）
・飲食不節（過食、偏食など）
・情志失調（ストレス、怒りなど）
・外傷
などがあります。

2. 病位による分類

病機は、その発生する部位によって分類することができます。病位とは、病邪が侵す人体組織や器官のことです。主な病位としては、

・表（体表）
・裏（内臓）
・半表半裏（表裏の中間の部位）
・経絡
・五臓六腑
などがあります。

3. 病性による分類

病機は、その性質によって分類することができます。病性とは、病邪の性質や病変の性質のことです。主な病性としては、

・寒証（寒邪の侵襲によって起こる病症）
・熱証（熱邪の侵襲によって起こる病症）
・虚証（正気が不足して起こる病症）
・実証（邪気が旺盛で正気が不足する病症）
・陰証（陰液が不足して起こる病症）
・陽証（陽気が不足して起こる病症）
などがあります。

これらの分類は、病機を理解し、適切な治療法を選択する上で重要です。

病機の診断

病機の診断

病機の診断とは、東洋医学において、疾患の発生および進行機序を明らかにするための診断方法のことです。病機を診断することで、疾患の根本的な原因を特定し、適切な治療法を選択することが可能になります。

病機の診断は、問診、視診、切診、舌診、脈診などの方法を用いて行われます。問診では、患者の訴える症状や既往歴、生活習慣などを詳しく聴取します。視診では、患者の顔色、皮膚の状態、舌の状態などを観察します。切診では、患者の脈や腹部の状態を触診します。舌診では、患者の舌の状態を観察します。脈診では、患者の脈の状態を触診して、その状態を判断します。

これらの診察方法を総合的に判断することで、病機を診断します。病機を診断する際には、患者の体質や病状を考慮することも重要です。体質とは、患者の生まれ持った身体的および精神的な特徴のことです。病状とは、患者の現在の病気の状態のことです。体質と病状を考慮することで、より正確な病機の診断が可能になります。

病機の治療

病機の治療

病機を治療するには、まず、その病機を正しく把握することが重要です。病機を正しく把握するためには、患者の症状や体質、病歴などを詳しく問診し、脈診や舌診などの東洋医学的な診察を行います。病機を正しく把握できれば、それに合った治療法を選択することができます。

病機の治療には、鍼灸、漢方薬、推拿、気功などの様々な東洋医学的な治療法があります。鍼灸は、経絡やツボに鍼を刺したり、灸を据えたりすることで、気血の流れを調整し、病機を改善します。漢方薬は、天然由来の生薬を配合した薬で、病機に応じて服用することで、病気を治癒したり、症状を緩和したりします。推拿は、患者の体をマッサージしたり、ストレッチしたりすることで、気血の流れを調整し、病機を改善します。気功は、呼吸法や動作によって気を整え、病機を改善します。

東洋医学的な治療法は、病機を正しく把握し、それに合った治療法を選択することで、病気を治癒したり、症状を緩和したりする効果が期待できます。