肅降とは何か？肺気の降下と浄化作用

肅降とは何か？肺気の降下と浄化作用

肅降とは何か？

肅降とは、東洋医学の用語で、肺気の降下および浄化作用のことです。宣発作用（肺の気の拡散作用）と相対する概念になります。肺は、呼吸によって外界の空気を体内に取り入れ、二酸化炭素を排出する役割を担っています。また、肺は、体内の水分を調整し、津液を生成する役割も担っています。肃降作用は、肺のこれらの機能を正常に保つために重要な働きをしています。

肅降作用が正常に働いていると、呼吸はスムーズに行われ、身体に十分な酸素が供給されます。また、肺の余分な水分は排出され、津液の生成が正常に行われます。これによって、身体の免疫機能が正常に働き、風邪や感染症にかかりにくくなります。肅降作用が弱まると、呼吸が浅くなり、身体に十分な酸素が供給されなくなります。また、肺の余分な水分が排出されず、痰が溜まりやすくなります。これによって、咳や痰、息切れなどの症状が現れることがあります。また、肅降作用が弱まると、津液の生成が正常に行われなくなり、皮膚や粘膜が乾燥しやすくなります。これによって、肌荒れや便秘などの症状が現れることがあります。

肺気の降下

肺気の降下

肺気がしっかりと降下しない場合、気滞と呼ばれる病態が引き起こされる。気滞になると、発散機能が滞り、全身の気血が巡りにくくなる。そのため、様々な症状が現れる。例えば、のぼせ、頭痛、めまい、動悸、息切れ、咳、痰、食欲不振、便秘、下痢などである。また、気滞がひどくなると、さらに重篤な病気を引き起こすこともある。例えば、脳卒中、心筋梗塞、狭心症、気管支喘息、肺気腫、大腸がん、乳がん、卵巣がん、子宮がん、前立腺がん、精巣がんなどである。

肺気の降下を促すためには、肺を潤し、肺の働きを活発にすることが大切である。そのため、白きくらげ、蓮の実、玉竹、麦門冬、百合根、山薬、クコの実などの食材を積極的に摂取することが望ましい。また、肺を潤す作用のある漢方薬を服用することも有効である。例えば、麦門冬湯、百合固金湯、六味地黄丸、当帰芍薬散などである。

肺気の降下を促すためには、肺を潤すこと以外にも、以下のことに注意することが大切である。

* 十分な睡眠をとる
* ストレスを避ける
* 適度な運動をする
* 禁煙をする
* 節酒をする
* バランスのとれた食事を摂る

肺気の浄化作用

肺気の浄化作用

肺気の降下および浄化作用である肅降は、宣発作用と相対する。宣発作用は肺気を上昇させ、外に放出する作用であり、肅降作用は肺気を下降させ、浄化する作用である。肺気の浄化作用は、肺が空気中の有害物質をろ過し、排出する働きによって行われる。肺胞には、有害物質を捕まえるための線毛細胞と、有害物質を分解するためのマクロファージが存在する。線毛細胞は、有害物質を捕まえて気道に押し上げ、マクロファージは、有害物質を分解して排出する。この働きによって、肺は、空気中の有害物質から体を守っているのである。

肃降と宣発の関係

肅降と宣発の関係

肅降は肺の気が下方に向かって降下し、肺を浄化する働きです。これは、宣発作用と相対する働きであり、宣発は肺の気が上方に向かって発散し、肺を拡散させる働きです。

肅降と宣発は、どちらも肺の機能を維持するために必要な働きですが、その働きは互いに相反しています。そのため、どちらかが過剰になると、もう一方が不足してしまいます。

例えば、肅降が過剰になると、肺の気が下方に向かって降下しすぎて、肺が萎縮してしまいます。すると、宣発が不足してしまい、肺の気が上方に向かって発散できなくなり、肺が詰まってしまいます。

逆に、宣発が過剰になると、肺の気が上方に向かって発散しすぎて、肺が拡散しすぎてしまいます。すると、肅降が不足してしまい、肺の気が下方に向かって降下できなくなり、肺が鬱滞してしまいます。

肅降と宣発のバランスが崩れると、肺の機能が低下してしまいます。そのため、東洋医学では、肅降と宣発のバランスを調整することが重要であると考えられています。

肅降と宣発のバランスを調整するには、食事や運動などの生活習慣を改善したり、鍼灸や漢方薬などの治療を受けたりすることが有効です。