利尿薬でむくみを改善!　東洋医学の『利水滲濕』について

利尿薬でむくみを改善!　東洋医学の『利水滲濕』について

利水滲濕とは何か

利水滲濕とは、東洋医学における治療法のひとつで、利尿薬を用いて湿邪の内部鬱滞を治療する方法です。湿とは、水や水分のことで、邪とは、体内に侵入して悪影響を及ぼす有害な因子を意味します。湿邪とは、湿が体内に侵入して、停滞し、さまざまな症状を引き起こす状態を指します。

湿邪は、体質や季節の変化、環境の変化などによって引き起こされることがあります。湿邪が体内に侵入すると、水分の代謝が乱れて、体内に水分が貯留し、むくみや下痢、食欲不振、疲労感などの症状を引き起こします。また、湿邪は、熱邪や寒邪などの他の邪気と合わさって、さまざまな症状を引き起こすこともあります。

利水滲濕は、湿邪を取り除くことで、これらの症状を改善する治療法です。利水滲濕には、さまざまな方法がありますが、一般的には、利尿薬を用いて尿量を増やし、湿邪を尿と一緒に体外に排出する方法がとられます。利尿薬には、生薬や漢方薬などが用いられます。

利水滲濕は、むくみや下痢、食欲不振、疲労感などの症状がある場合に、有効な治療法です。また、湿邪が原因で起こるさまざまな疾患の予防にも効果があります。

利水滲濕の適応症

-利水滲濕の適応症-

利水滲濕は、水毒が体内にとどまって衛気営血の運行を妨げ、水腫、腹水、浮腫などを引き起こした病態を改善する方法です。適応症としては、主に以下のものがあります。

* 水腫体内に余分な水分が貯留して、むくみなどが起こる状態。
* 腹水腹腔内に余分な水分が貯留する状態。
* 浮腫組織間に余分な水分が貯留して、腫れなどが起こる状態。
* 尿閉尿が出にくい、またはまったく出ない状態。
* 尿失禁尿を我慢できず、漏らしてしまう状態。
* 夜尿症夜中に何度も尿意を催して、尿を漏らしてしまう状態。
* 前立腺肥大症前立腺が肥大して、尿道が圧迫され、尿が出にくくなる状態。
* 腎炎腎臓が炎症を起こして、尿が出にくくなる状態。
* 腎不全腎臓が機能しなくなり、尿が出なくなる状態。

利水滲濕は、これらの適応症に対して、体内の余分な水分を排出することで、病態を改善していきます。

利水滲濕の禁忌症

利水滲濕の禁忌症

利水滲濕は、湿邪の内部鬱滞を治療する方法ですが、禁忌症もあります。禁忌症とは、治療法を行うことができない、または行ってはいけない状態のことです。利水滲濕の禁忌症は、以下の通りです。

・水毒の症状がない場合
・脾胃虚弱の場合
・妊娠中の方
・重度の心臓病、腎臓病、肝臓病の方

水毒の症状がない場合

利水滲濕は、水毒の症状を改善するための治療法です。水毒の症状とは、むくみ、下痢、尿が少ないなどの症状です。水毒の症状がない場合、利水滲濕を行う必要はありません。

脾胃虚弱の場合

脾胃は、消化器系の働きを担う臓器です。脾胃が虚弱な場合、利水滲濕を行うと、脾胃の働きをさらに弱めてしまう可能性があります。そのため、脾胃虚弱の方には、利水滲濕を行うことができません。

妊娠中の方

妊娠中は、体内の水分量が増加します。そのため、利水滲濕を行うと、体内の水分量を減らしてしまい、母体と胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、妊娠中の方には、利水滲濕を行うことができません。

重度の心臓病、腎臓病、肝臓病の方

重度の心臓病、腎臓病、肝臓病の方は、利水滲濕を行うと、病状を悪化させる可能性があります。そのため、重度の心臓病、腎臓病、肝臓病の方には、利水滲濕を行うことができません。

利水滲濕でよく使われる漢方薬

利水滲濕でよく使われる漢方薬

利水滲濕には、主に利尿作用のある生薬、滲出作用のある生薬、湿邪を除去する作用のある生薬が用いられます。

利尿作用のある生薬としては、茯苓、猪苓、泽泻、車前子、金銭草などがあります。茯苓は、利水作用に加え、強壮作用や鎮静作用もあります。猪苓は、利水作用に加え、解毒作用や抗菌作用もあります。泽泻は、利水作用に加え、清熱作用や瀉火作用もあります。車前子は、利水作用に加え、清熱作用や止咳作用もあります。金銭草は、利水作用に加え、清熱作用や解毒作用があります。

滲出作用のある生薬としては、五苓散、猪苓湯、茯苓飲、泽泻湯などがあります。五苓散は、茯苓、猪苓、泽泻、車前子、金銭草を組み合わせた処方で、利水滲濕作用が強く、浮腫や水腫に用いられます。猪苓湯は、猪苓、茯苓、澤瀉、桂枝、白朮を組み合わせた処方で、利水滲濕作用と温陽作用があり、浮腫や水腫、冷え症に用いられます。茯苓飲は、茯苓、猪苓、澤瀉、山薬、薏苡仁を組み合わせた処方で、利水滲濕作用と健脾作用があり、浮腫や水腫、体力の低下に用いられます。泽泻湯は、泽泻、茯苓、猪苓、車前子、金銭草を組み合わせた処方で、利水滲濕作用と清熱作用があり、浮腫や水腫、熱感に用いられます。

湿邪を除去する作用のある生薬としては、蒼朮、白朮、厚朴、陳皮、半夏などがあります。蒼朮は、湿邪を除去する作用に加え、健脾作用や利尿作用もあります。白朮は、湿邪を除去する作用に加え、健脾作用や利尿作用があります。厚朴は、湿邪を除去する作用に加え、健胃作用や発汗作用もあります。陳皮は、湿邪を除去する作用に加え、健胃作用や理気作用もあります。半夏は、湿邪を除去する作用に加え、止咳作用や消炎作用もあります。

これらの生薬を組み合わせて、利水滲濕作用のある漢方薬が作られます。利水滲濕作用のある漢方薬は、浮腫や水腫、冷え症、熱感、体力の低下など、さまざまな症状に用いられます。