東洋医学の用語『分消走泄』について解説

東洋医学の用語『分消走泄』について解説

『分消走泄』とは？

『分消走泄』とは？

『分消走泄』とは、東洋医学の用語で、薬剤を用いて上焦（肺と心臓の部位）を開き、中焦（胃と脾の部位）を広げ、下焦（肝と腎の部位）を排液することで、三焦（上焦、中焦、下焦）の気機が温熱および痰湿により妨げられている状態を治療する方法のことです。

『分消走泄』の治療法は、温熱と痰湿を除去するために、温性の薬剤と化痰散結の薬剤を組み合わせた薬方を用います。温性の薬剤は、体を温めて気血の運行を促進し、痰湿を除去します。化痰散結の薬剤は、痰を溶かして気道の閉塞を解除し、結節を散らして気血の運行を改善します。

『分消走泄』の治療法は、風邪、感冒、肺炎、気管支炎、喘息、結核、肝炎、胆嚢炎、胆石症、腎炎、膀胱炎、前立腺炎などの治療に使用されます。

『分消走泄』の考え方

「分消走泄」の考え方は、東洋医学の「三焦」という概念に基づいています。三焦とは、人体の上、中、下に分けて、それぞれを「上焦」、「中焦」、「下焦」と呼び、それぞれに固有の機能があると考えられています。上焦は、呼吸器や心臓などの胸部にある臓器を指し、中焦は、胃や小腸などの消化器を指し、下焦は、大腸や膀胱などの排泄器を指します。分消走泄は、三焦の気機が温熱および痰湿により妨げられている状態を治療する際に用いられる方法で、上焦を開き、中焦を広げ、下焦を排液することにより、三焦の気機を調整して病態を改善することを目的としています。具体的には、上焦を開くために発汗を促進する薬剤を使用したり、中焦を広げるために胃腸の働きを改善する薬剤を使用したり、下焦を排液するために利尿剤を使用したりします。

『分消走泄』の応用

『分消走泄』の応用

『分消走泄』の概念は、多くの疾患の治療に応用することができます。例えば、上焦の気機が温熱により妨げられている場合、辛涼清熱薬を用いて清熱解毒します。中焦の気機が痰湿により妨げられている場合、芳香化湿薬を用いて芳香燥湿して、痰湿を化解します。下焦の気機が排液が滞っている場合、瀉下薬を用いて通便して、下焦を排泄します。また、『分消走泄』の概念は、中風、熱病、消化器疾患、婦人科疾患など、様々な疾患に応用することができます。

『分消走泄』は、東洋医学の基本的な治療法の一つであり、多くの疾患の治療に応用することができます。

『分消走泄』の注意点

『分消走泄』の注意点

『分消走泄』は、上焦を開き、中焦を広げ、下焦を排液して、三焦の気機が温熱および痰湿により妨げられている状態を治療する方法ですが、いくつかの注意点があります。

まず、生下られる病気に対しては行わず、正治に法ります。つまり、薬を用いて強制的に症状を改善させるのではなく、患者の自然な治癒力を利用して病気を治す方法を選択します。

また、『分消走泄』は、虚証の患者には適しません。虚証とは、患者の体力が弱く、抵抗力が低下している状態です。虚証の患者に『分消走泄』を行うと、患者の体力をさらに消耗させてしまい、病気を悪化させるおそれがあります。

さらに、『分消走泄』は、慢性の病気には適しません。慢性の病気は、長期間にわたって続く病気です。『分消走泄』は、一時的に症状を改善させることはできますが、慢性の病気を根本的に治すことはできません。そのため、慢性の病気には、『分消走泄』以外の治療法を選択する必要があります。