東洋医学の用語『燥痰證』と咳
東洋医学の研究家
東洋医学の用語『燥痰證』とは、肺における燥熱および痰濁の蓄積により生じる証で、どのような症状を伴うでしょうか?
東洋医学を知りたい
少量の粘着性の痰または血の付着した痰を伴う咳嗽、重圧感を伴う胸痛、鼻および口の乾燥、潤いは少ないが膩苔を伴う舌、および不規則に変わる細脈を伴う症状がみられます。
東洋医学の研究家
その通りです。燥痰證は、肺の燥熱と痰濁の蓄積が原因で起こる証です。乾燥した咳や痰、胸痛、鼻や口の乾燥などの症状がみられます。
東洋医学を知りたい
燥痰證の原因は、どのようなものがあるのでしょうか?
燥痰證とは
燥痰證とは
燥痰證とは、肺における燥熱と痰濁の蓄積により生じる証です。咳嗽、重圧感を伴う胸痛、鼻および口の乾燥、潤いは少ないが膩苔を伴う舌、および不規則に変わる細脈を特徴とします。また、喀出困難な少量の粘着性の痰または血の付着した痰を伴うこともあります。燥痰證は、主に外邪の侵襲や、内傷七情などにより、肺の気陰が損傷し、燥熱が生じて痰濁が蓄積することで発症すると考えられています。燥痰證の治療には、肺の気陰を補い、燥熱を除き、痰濁を化解する薬物が用いられます。
燥痰證の原因
燥痰證の原因は、主に次の3つに分類されます。
1. 肺気虚肺の気が不足し、肺の宣発と粛降の機能が低下することで、痰が停滞しやすくなります。
2. 肺熱肺に熱がこもることで、痰が熱によって粘着性が強くなり、喀出されにくくなります。
3. 痰湿体内に湿邪が蓄積することで、痰と湿が結合して粘着性が強くなり、喀出されにくくなります。
これら3つの原因は、単独で起こる場合もありますが、組み合わさって起こる場合も多くあります。例えば、肺気虚と肺熱が組み合わさると、肺気の不足により肺の宣発と粛降の機能が低下し、痰が停滞しやすくなり、肺の熱により痰が粘着性を帯びて喀出されにくくなります。また、肺熱と痰湿が組み合わさると、肺の熱により痰が粘着性を帯びて喀出されにくくなり、痰湿により痰と湿が結合してさらに粘着性が強くなり、喀出されにくくなります。
燥痰證の治療
燥痰證の治療には、主に肺熱を清め、痰を化解する中薬を用います。代表的な処方には、清肺化痰湯(せいはいけたんとう)や半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などがあります。
清肺化痰湯は、桔梗、款冬花、薄荷、杏仁、橘皮、陳皮、旋覆花、甘草、麦門冬、天花粉、茯苓、半夏、厚朴、麻黄、杏子仁、蘇葉、生姜、大棗などの生薬を配合した処方です。肺の熱を清め、痰を化解し、咳嗽や喀痰、胸痛、口の渇きなどの症状を改善する効果があります。
半夏厚朴湯は、半夏、厚朴、茯苓、陳皮、枳実、甘草などの生薬を配合した処方です。肺の熱を清め、痰を化解し、胸痛や咳嗽、痰を伴う口の渇きなどの症状を改善する効果があります。
燥痰證の治療には、中薬だけでなく、生活習慣の改善も重要です。例えば、以下のことに注意しましょう。
* 十分な睡眠をとる。
* バランスのとれた食事をとる。
* 適度な運動をする。
* ストレスをためない。
* 禁煙・禁酒をする。
燥痰證は、適切な治療と生活習慣の改善により、症状を改善することが可能です。咳や痰が続く場合は、早めに医師に相談しましょう。