東洋医学の用語『懸飲』

東洋医学の用語『懸飲』

懸飲の概念と症状

懸飲の概念と症状

懸飲とは、東洋医学における用語の一つで、喉頭側部に停滞する実津（じつしん）を特徴とする疾患であり、咳嗽時に引き延ばされるような痛みを伴います。実津とは、体内に余分な水分や粘液などが蓄積した状態のことを指し、それが喉頭に停滞することで、様々な症状を引き起こします。

懸飲の主な症状としては、咳、痰、咽頭痛、胸痛、息切れ、悪寒、発熱などがあります。咳は、粘り気のある痰を伴い、発作的に出現することが多く、痰が絡んで呼吸が苦しくなることがあります。咽頭痛は、喉の痛みや違和感があり、胸痛は、胸の真ん中や両脇に痛みを伴うことが多く、息切れは、息をするのが苦しくなる症状です。悪寒や発熱は、風邪をひいた時のような症状で、全身がだるくなり、食欲が低下することがあります。

懸飲は、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症、細菌感染症、アレルギー、ストレスなどが原因で引き起こされると考えられています。また、喫煙や過度な飲酒、睡眠不足、偏食なども、懸飲の発症リスクを高める因子となります。

懸飲を発症した場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。治療法としては、薬物療法、漢方薬療法、鍼灸治療などがあります。薬物療法では、抗菌薬や解熱剤、去痰剤などが使用され、漢方薬療法では、疎風解表剤や清肺化痰剤などが使用されます。鍼灸治療では、ツボを刺激して気の流れを整えることで、症状を改善していきます。

懸飲の原因と病理

懸飲の原因と病理

懸飲は、喉頭側部に停滞する実津を特徴とする疾患で、咳嗽時に引き延ばされるような痛みを伴います。この疾患の原因は、内因と外因の両方の要素によって引き起こされると考えられています。

内因としては、腎虚、脾虚、痰湿などがあります。腎虚は、腎の精気が不足している状態で、腎水の上昇を引き起こし、痰湿を生成することによって懸飲の原因となります。脾虚は、脾の運化機能が低下している状態で、水湿を運化できなくなり、痰湿を生成することによって懸飲の原因となります。痰湿は、湿邪と痰邪が合わさって生成され、喉頭側部に停滞することで懸飲を引き起こします。

外因としては、風邪、邪気、飲食不摂生などがあります。風邪は、風邪ウイルスによって引き起こされる感染症で、喉頭側部に熱邪を生成することによって懸飲を引き起こします。邪気は、外部から侵入した病原体で、喉頭側部に侵襲することによって懸飲を引き起こします。飲食不摂生は、過食、偏食、暴飲暴食などによって脾胃の機能を損傷し、痰湿を生成することによって懸飲を引き起こします。

懸飲の治療法

懸飲の治療法

懸飲の治療は、漢方薬と鍼灸が中心となります。漢方薬は、懸飲の症状に合わせて処方されます。代表的な処方には、葛根湯、麻黄湯、桂枝湯などがあります。鍼灸は、懸飲の患部にある経穴に鍼や灸を施すことで、症状を緩和していきます。

懸飲の治療には、日常生活での注意点も大切です。懸飲の症状がある人は、冷たい飲み物や食べ物を控え、温かいものを摂るようにしましょう。また、喉の粘膜を保護するために、加湿器を使うことも効果的です。

懸飲は、早期に治療を開始すれば、症状の改善が期待できます。しかし、放置すると慢性化して治りにくくなるため、早めに治療を受け始めることが大切です。

懸飲の予防法

懸飲を予防するには、以下のことに注意しましょう。

・冷たい飲み物や食べ物を避け、喉を冷やさないようにする。
・過労やストレスを避け、十分な休息をとる。
・肥満や喫煙を避け、健康的な食生活を心がける。
・風邪をひかないように、手洗いうがいを徹底する。
・喉の痛みや咳などの症状が出たら、早めに医師を受診する。

また、懸飲になりやすい人は、以下のことに注意しましょう。

・慢性的な扁桃炎や副鼻腔炎がある人。
・アレルギー体質の人。
・免疫力が低下している人。
・喫煙者。
・肥満の人。

懸飲は、適切な予防と治療を行うことで、発症や悪化を防ぐことができます。