東洋医学用語「気虚不攝証」の原因と治療法
東洋医学の研究家
東洋医学の用語『氣虛不攝證』とは、どのような症状を伴う証のことでしょうか。
東洋医学を知りたい
氣虛不攝證とは、気の不足により水津を体内に閉じこめることができず、結果として水津が減少するときに生じる証です。遺精、小便失禁、自汗、出血、つやのない顔色、倦怠感、乏力、膨らんだ淡白舌、および弱脈を特徴とします。
東洋医学の研究家
なるほど、水津の減少は、どのような影響を及ぼすのでしょうか。
東洋医学を知りたい
水津の減少は、体内の水分や栄養を保持することが難しくなり、体内のバランスが崩れて様々な症状を引き起こします。例えば、遺精、小便失禁、自汗、出血、つやのない顔色、倦怠感、乏力、膨らんだ淡白舌、および弱脈などの症状が現れます。
気虚不攝証とは何か
気虚不攝証とは、中国医学における病態のひとつであり、気虚が強いことで水津を体内に閉じこめることができなくなることで起こるとされています。気は、身体の機能を維持する上で重要な役割を果たすもので、気虚とは、気の不足を意味します。水津は、身体を構成する液体成分であり、水分の代謝や循環を担っています。
気虚不攝証になると、水津が体外に漏れ出してしまい、小便失禁、遺精、自汗、出血などの症状が現れます。また、顔色が悪く、倦怠感や乏力などの症状もみられます。舌は淡白で膨らみ、脈は弱くなります。
気虚不攝証の原因
-気虚不攝証の原因-
気虚不攝証の原因は、一般に次の2つに大別される。
・先天性の場合
先天性とは、生まれたときから気虚不攝証の体質を持っていることをいう。これは、親の体質や遺伝的な要因などが関係していると考えられている。
・後天性の場合
後天性とは、生まれてから何らかの原因で気虚不攝証の症状が現れることをいう。この場合の原因としては、次のものが挙げられる。
・過労やストレス
・不規則な食事や睡眠
・過度の飲酒や喫煙
・激しい運動
・病気や怪我
・加齢
気虚不攝証は、これらの原因によって気虚が誘発され、水津を体内に閉じこめることができなくなることで発症すると考えられている。
気虚不攝証の症状
気虚不攝証の症状
気虚不攝証の症状は多岐にわたり、遺精、小便失禁、自汗、出血、つやのない顔色、倦怠感、乏力、膨らんだ淡白舌、および弱脈などがあります。
遺精とは、男性が睡眠中に性的な夢を見て射精してしまうことを指します。小便失禁とは、尿をコントロールできずに漏らしてしまうことを指します。自汗とは、汗をかきやすい状態のことを指します。出血とは、体の一部から血が出ることを指します。つやのない顔色とは、顔色が悪く、血色が悪い状態のことを指します。倦怠感とは、疲れやすく、だるい状態のことを指します。乏力とは、力がなく、疲れやすい状態のことを指します。膨らんだ淡白舌とは、舌が腫れて、白く、苔がほとんどない状態のことを指します。弱脈とは、脈が弱く、遅く、不規則な状態のことを指します。
気虚不攝証の治療法
-気虚不攝証の治療法-
気虚不攝証の治療は、基本的には3つの原則に従って行われる。
1. 気血を補い、陽気を鼓舞する
2. 水の利を節し、脾を益する
3. 補腎壮陽
具体的には、補気益血の薬として、人参、黄耆、当帰、川芎、白朮、茯苓、遠志、益母草などが用いられる。陽気を鼓舞する薬としては、附子、桂枝、肉桂、生薬などが用いられる。水の利を節し、脾を益する薬としては、白朮、茯苓、山薬、蓮肉、芡実などが用いられる。補腎壮陽の薬としては、金匱腎気丸、六味地黄丸、八味地黄丸などが用いられる。
治療法としては、漢方薬の内服に加え、鍼灸、按摩、食餌療法なども併用される。鍼灸では、気虚不攝証によく効くツボである、気海、関元、太衝、三陰交などに鍼や灸を施す。按摩では、気虚不攝証によく効く部位である、腹部、腰部、下肢などを重点的にマッサージする。食餌療法では、気血を補う食材、水の利を節する食材、脾を益す食材、腎を補う食材を積極的に摂取するように指導する。
気虚不攝証は、適切な治療を施すことで、症状の改善が見られることが多い。しかし、治療には時間がかかるため、根気よく治療を続けることが大切である。