東洋医学の『痰熱閉肺證』について
東洋医学の研究家
『痰熱閉肺證』は、どの病態を示す用語でしょうか?
東洋医学を知りたい
『痰熱閉肺證』は、肺が痰と熱邪に閉塞されて、咳、喘、粘稠な黄色または血の付着した痰の喀出、胸痛、黄・膩苔を伴う紅舌および数・滑脈を特徴とする証です。
東洋医学の研究家
その通りです。『痰熱閉肺證』は、肺が痰と熱邪に閉塞されて、肺の気の通りが悪くなり、咳や喘息などの症状が現れる病態です。
東洋医学を知りたい
『痰熱閉肺證』の治療法はどのようなものがありますか?
『痰熱閉肺證』とは
『痰熱閉肺證』とは
「痰熱閉肺證」は、東洋医学の用語で、咳嗽(せき)、喘(息切れ)、粘稠な黄色または血の付着した痰の喀出、胸痛、黄・膩苔(舌苔が黄色く、ベトベトしている状態)を伴う紅舌(舌が赤い状態)および数・滑脈(脈が速く、滑らかな状態)を特徴とする証です。
「痰熱」とは、痰と熱が合わさった病態を指し、痰は体内の余分な水分や老廃物が固まってできたもので、熱は体内の炎症や熱感などを引き起こす因子です。「閉肺」とは、肺が痰熱によって塞がれてしまう状態を指します。
「痰熱閉肺證」は、主に肺の熱が高まり、痰が肺に停滞することで起こると考えられています。主な原因としては、風邪やインフルエンザなどの感染症、過労、ストレス、不規則な食生活や睡眠習慣などが挙げられます。
「痰熱閉肺證」の主な症状としては、咳嗽、喘、粘稠な黄色または血の付着した痰の喀出、胸痛、黄・膩苔を伴う紅舌および数・滑脈などがあります。また、倦怠感、食欲不振、悪寒、発熱などの症状を伴うこともあります。
「痰熱閉肺證」の治療としては、痰熱を清熱化痰する薬物を用いることが一般的です。また、安静を保ち、十分な水分を摂取することも大切です。
『痰熱閉肺證』の症状
『痰熱閉肺證』の症状
『痰熱閉肺證』は、咳嗽、喘、粘稠な黄色または血の付着した痰の喀出、胸痛、黄・膩苔を伴う紅舌および数・滑脈を特徴とする証です。
咳嗽は、乾性または湿性のいずれかで、しばしば夜間または明け方に悪化します。喘は、息切れまたは呼吸困難であり、安静時または労作時いずれかで起こります。粘稠な黄色または血の付着した痰の喀出は、しばしば粘稠で難しく、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。胸痛は、しばしば胸骨下または両側胸部に起こります。黄・膩苔を伴う紅舌は、舌が赤く、苔が黄色くて厚いことです。数・滑脈は、脈が速く、滑らかであることです。
『痰熱閉肺證』の症状は、しばしば他の証と混同されることがあります。例えば、咳嗽、喘、痰の喀出などの症状は、『肺熱證』や『肺寒證』と混同されることがあります。胸痛は、『心熱證』や『肝鬱證』と混同されることがあります。黄・膩苔を伴う紅舌は、『湿熱證』や『熱毒證』と混同されることがあります。数・滑脈は、『気虚證』や『血虚證』と混同されることがあります。
したがって、『痰熱閉肺證』の診断は、患者の症状、舌苔、脈象などを総合的に判断して行う必要があります。
『痰熱閉肺證』の原因
『痰熱閉肺證』の原因
『痰熱閉肺證』は、肺に痰熱が停滞して肺の気を阻滞し、咳嗽、喘、粘稠な黄色または血の付着した痰の喀出、胸痛などの症状を引き起こす証です。痰熱は、風寒の邪気、湿邪、食滞、情志の失調などによって生じると考えられています。
痰熱閉肺證を引き起こす主な原因としては、以下のものがあります。
●燥熱燥熱とは、体の熱が強く、乾燥を伴った症状です。燥熱が発生すると、肺を潤す津液が不足し、痰が粘稠になりやすくなります。また、熱が強いと肺の気を阻滞し、咳嗽や喘などの症状を引き起こすこともあります。
●痰滞痰滞とは、痰が肺に停滞して溜まった状態です。痰滞が起きると、肺の気を阻滞し、咳嗽や喘などの症状を引き起こします。また、痰滞が長引くと、熱を帯びて痰熱となり、症状を悪化させることもあります。
●気滞気滞とは、気の巡りが滞った状態です。気滞が起きると、肺の気を阻滞し、咳嗽や喘などの症状を引き起こします。また、気滞が長引くと、痰の生成を促進し、痰熱となりやすくなります。
●血瘀血瘀とは、血の流れが滞った状態です。血瘀が起きると、肺の血行を阻滞し、痰熱となりやすくなります。また、血瘀が長引くと、咳嗽や喘、血痰などの症状を引き起こすこともあります。
『痰熱閉肺證』の治療方法
「痰熱閉肺證」の治療方法は、痰熱を除去し、肺の閉塞を解消することを目的としています。
具体的には、痰熱を除去するために、清熱化痰薬である「麻杏石甘湯」や「五虎湯」が用いられます。また、肺の閉塞を解消するために、宣肺化痰薬である「蘇子降気湯」や「半夏厚朴湯」が用いられます。
さらに、痰熱閉肺證には、しばしば胸痛を伴うため、鎮痛作用のある薬剤が併用されることもあります。例えば、桂枝茯苓丸や当帰芍薬散が用いられます。
治療期間は、病状や体質によって異なりますが、一般的に2週間程度を目安とします。治療中は、禁煙や飲酒を控え、規則正しい生活を送ることが大切です。
また、上記の治療法に加えて、痰熱閉肺證の予防にも努めることが大切です。痰熱閉肺證は、暴飲暴食や過労、ストレスなどが原因となって発症することが多いため、これらの要因を避けるようにしましょう。また、定期的に運動を行い、肺機能を高めておくことも予防に役立ちます。