東洋医学の用語『肝血瘀滞證』とは？

東洋医学の用語『肝血瘀滞證』とは？

肝血瘀滞證とは

肝血瘀滞證とは、東洋医学における証のひとつで、肝気の流れが悪くなり、血が滞ることで起こる症状のことです。抑うつ気分、下肋部の膨満感や刺痛、下肋部や下腹部にしこりができる、舌が紫がかったり紫斑ができたりする、脈が弦脈で不規則に変わるなどの症状が特徴とされます。肝気の流れが悪くなる原因としては、ストレス、過労、不規則な生活、食生活の乱れなどがあげられます。血が滞る原因としては、瘀血（おけつ）体質、血虚（けっきょ）、気滞（きたい）などがあげられます。肝血瘀滞證は、主に肝臓や脾臓の機能が低下している場合に起こり、女性に多いとされています。

肝血瘀滞證の原因

肝血瘀滞證の原因は、主に以下の通りです。

* ストレスストレスによって肝気（肝の機能や活動を促進する気）が滞り、血瘀（血液の循環障害）を引き起こすことがあります。
* 食生活の乱れ脂っこいものや甘いものを食べすぎると、血がドロドロになり、血瘀を引き起こすことがあります。
* 運動不足運動不足によって血流が悪くなり、血瘀を引き起こすことがあります。
* 睡眠不足睡眠不足によって肝の機能が低下し、血瘀を引き起こすことがあります。
* 外傷外傷によって肝臓が損傷すると、血瘀を引き起こすことがあります。
* 薬剤薬剤の中には、肝臓に負担をかけるものがあり、血瘀を引き起こすことがあります。
* 妊娠妊娠中は、女性ホルモンの影響で肝機能が低下し、血瘀を引き起こすことがあります。

肝血瘀滞證の症状

肝血瘀滞證の症状は大きく分けて3つあります。

まず、精神神経症状として、抑うつ気分、不眠、イライラなどがみられます。
次に、消化器症状として、下肋部の膨満や刺痛、下痢や便秘、食欲不振などがあります。
最後に、婦科症状として、月経不順、子宮筋腫、子宮内膜症、更年期障害などがあります。

これらの症状は、肝血瘀滞證の程度によって、軽度なものから重度なものまでさまざまです。
また、症状が現れる時期も、人によって異なります。
中には、症状がまったく現れない人もいます。

肝血瘀滞證の治療

肝血瘀滞證の治療は、肝気鬱滞を疏通させ、血瘀を化瘀して、肝血を和解させることが基本原則です。具体的には、以下の方法があります。

* -瀉肝湯-肝気鬱滞を疏通させ、血瘀を化瘀する代表的な処方です。肝鬱気滞の症状が強い場合に使用されます。
* -当帰芍薬散-血瘀を化瘀し、肝血を和解させる代表的な処方です。血虚の症状が強い場合に使用されます。
* -柴胡疏肝湯-肝気鬱滞を疏通させ、血瘀を化瘀する処方です。肝鬱気滞の症状と血瘀の症状が混在している場合に使用されます。
* -逍遙散-肝気鬱滞を疏通させ、血瘀を化瘀する処方です。肝鬱気滞の症状が比較的軽度の場合に使用されます。
* -加味逍遥散-逍遙散に当帰と芍薬を加えた処方です。血虚の症状が強い場合に使用されます。

肝血瘀滞證の治療は、症状や体質に合わせて、適切な処方を選択することが大切です。自己判断で治療を行うことは避け、必ず医師の指示に従ってください。