東洋医学における血虛生風證とは

東洋医学における血虛生風證とは

血虛生風證とは

血虛生風證とは、東洋医学の用語で、血の虚により筋の滋養が枯渇することにより生じる肝風証のことです。麻木、顫震、四肢の筋収縮、掻痒、めまい、つやのない爪、淡白舌および細・弱脈を特徴とします。

血虛生風證は、血虚により肝臓の陰液が不足し、肝風が発生することで起こると考えられています。肝風は、筋肉や腱を収縮させる働きがあり、血虛生風證では、この肝風の亢進により、筋肉や腱が過度に収縮して、麻木、顫震、四肢の筋収縮などの症状が現れます。また、肝風は、皮膚を乾燥させたり、爪を弱くしたりするため、掻痒、爪の変色などの症状も現れます。

血虛生風證の治療は、血を補い、肝風を鎮めることが基本となります。血を補うために、当帰、地黄、川芎などの生薬を用い、肝風を鎮めるために、柴胡、薄荷、菊花などの生薬を用います。また、食生活や生活習慣の改善も重要で、血を補うためには、レバーやほうれん草、プルーンなどの食品を積極的に摂り、肝風を鎮めるためには、ストレスを避け、十分な睡眠をとることが大切です。

血虛生風證の症状

血虛生風證の症状

血虛生風證の症状は、麻木、顫震、四肢の筋収縮、掻痒、めまい、つやのない爪、淡白舌および細・弱脈です。麻木とは、感覚が鈍くなる症状で、四肢に起こることが多いです。顫震とは、筋肉が勝手に震える症状で、手足に起こることが多いです。四肢の筋収縮とは、筋肉が縮んでしまう症状で、歩行障害や手指の変形を引き起こすことがあります。掻痒とは、かゆみを伴う症状で、全身に起こることがあります。めまいとは、頭が回転しているような感覚で、立ちくらみや失神を伴うことがあります。つやのない爪とは、爪にツヤがなく、もろい状態です。淡白舌とは、舌の色が淡白で、苔が少ない状態です。細・弱脈とは、脈が細く、弱い状態です。

血虛生風證の原因

血虛生風證の原因

血虛生風證は、先天的な気血虚弱や、後天的な血の不足が原因で起こります。先天的な気血虚弱とは、生まれつき体力が弱く、血の量が少ない状態を指します。後天的な血の不足とは、過労、出血、栄養不良、慢性疾患などにより、血が不足する状態を指します。血虚により肝の血が枯渇すると、肝の風気が生じて、血虚生風證の諸症状が現れます。

血虚生風證は、主に肝腎血虚症（肝と腎の血が不足する）と脾胃血虚症（脾と胃の血が不足する）に分類されます。肝腎血虚症は、肝腎の陰血が不足することで起こり、めまい、耳鳴り、不眠、腰痛、膝痛などの症状が現れます。脾胃血虚症は、脾胃の血が不足することで起こり、食欲不振、下痢、倦怠感、息切れ、動悸などの症状が現れます。

血虛生風證の治療法

血虛生風證の治療法

血虛生風證の治療は、瘀血を除き、血を養い、肝風を鎮めることが基本となります。具体的には、以下の薬物が使用されます。

* 当帰（とうき）血を養い、瘀血を除く作用があります。
* 川芎（せんきゅう）血行を促進し、瘀血を除く作用があります。
* 芍薬（しゃくやく）肝を鎮め、痛みを緩和する作用があります。
* 白芍（びゃくしゃく）肝を鎮め、痛みを緩和する作用があります。
* 熟地黄（じゅくじおう）血を養い、腎を補う作用があります。
* 山茱萸（さんしゅゆ）腎を補い、精を養う作用があります。
* 枸杞子（くこし）肝を補い、視力を改善する作用があります。
* 黄耆（おぎ）気虚を補い、免疫力を高める作用があります。

これらの薬物は、患者さんの症状に合わせて、加減して使用されます。また、必要に応じて、鍼灸治療やマッサージなども併用されます。