東洋医学用語『金實不鳴』の意味と由来

東洋医学用語『金實不鳴』の意味と由来

『金實不鳴』とは何か

『金實不鳴』とは、東洋医学の用語で、過度の肺気による嗄声または失声を比喩的に指す表現です。肺気とは、肺に存在する気のことですが、この気が過剰になると、声帯がうまく振動しなくなり、声がかすれたり、出なくなったりします。『金實不鳴』という表現は、金の鈴が鳴らない状態に例えており、肺気に満ちた状態では、声が出ないことを意味しています。

『金實不鳴』の原因としては、肺を傷つけるような飲食物の摂りすぎ、過労、ストレスなどがあります。また、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかっても、肺気が過剰になり、『金實不鳴』を引き起こすことがあります。

『金實不鳴』の治療としては、肺の熱を冷まし、肺気を下げるような漢方薬が用いられます。また、声の出しすぎを避け、安静にすることが大切です。

『金實不鳴』の由来

-『金實不鳴』の由来-

東洋医学の用語である「金實不鳴」とは、過度の肺気による嗄声や失声を比喩的に指す表現です。その由来は、中国の古典である『内経』にあります。『内経』は、紀元前2000年頃に成立したとされる中国最古の医学書であり、鍼灸や漢方薬などの治療法について書かれています。

『内経』の「素問」篇に、「肺気盛んなる者は、声高にして清なり。肺気虚なる者は、声低にして濁なり。肺気実なる者は、声不出なり」とあります。これは、肺の気が盛んであれば声が高く澄み、肺の気が虚弱であれば声は低く濁り、肺の気が実であれば声が出なくなるという意味です。

『内経』のこの記述が、後に「金實不鳴」という言葉を生み出しました。「金」は肺を表し、「實」は気が盛んなことを意味します。つまり、「金實不鳴」とは、肺の気が盛んすぎて声が不出になる状態を指しています。

「金實不鳴」は、現代医学でいう嗄声や失声に相当します。嗄声とは、声がかすれることで、失声とは、声が全く出なくなることです。嗄声や失声は、喉頭炎や扁桃炎、気管支炎などの炎症性疾患、声帯ポリープや声帯結節などの声帯の疾患、肺気腫や慢性閉塞性肺疾患（COPD）などの肺疾患などが原因で起こることがあります。

「金實不鳴」は、肺の気が盛んな状態を指すため、肺の気が虚弱な状態である「肺虚不収」とは対照的です。「肺虚不収」は、肺の気が弱く、気管支や肺胞が十分に膨らまない状態を指し、息切れや咳嗽などの症状が現れます。

『金實不鳴』の症状とその対処法

-『金實不鳴』の症状とその対処法-

『金實不鳴』の主な症状は嗄声（声が枯れること）や失声（声が出なくなること）です。また、咳、痰、息切れ、胸痛、倦怠感、食欲不振などの症状を伴うこともあります。

『金實不鳴』の対処法としては、まず、肺を休ませることが重要です。そのためには、安静にし、煙草やアルコールなどの刺激物を避けることが大切です。また、喉の粘膜を保護するために、水分を十分に摂り、蒸気を吸入することも有効です。

『金實不鳴』の治療法としては、主に漢方薬が用いられます。漢方薬は、肺を滋養強壮し、気の流れを改善する効果があります。また、咳や痰を抑える効果のある漢方薬もあります。

『金實不鳴』を予防するためには、普段から肺を健康に保つことが大切です。そのためには、規則正しい生活を心がけ、バランスのとれた食事を摂ることが重要です。また、適度な運動を心がけ、ストレスを溜めないことも大切です。

『金實不鳴』の予防法

『金實不鳴』の予防法

『金實不鳴』は予防法よりも治療法の方が充実しています。しかし、予防法としては、まず声帯の酷使を避けることが挙げられます。声帯は、声を出したり歌ったりするために重要な器官です。そのため、長時間大声を上げたり、歌ったりすることは避けましょう。また、喫煙や過度の飲酒も声帯に悪影響を及ぼします。禁煙と節酒を心がけましょう。

次に、喉の乾燥を防ぐことも大切です。喉が乾燥すると、声帯が炎症を起こしやすくなります。水分を十分に摂取し、適度に加湿器を使用しましょう。

さらに、規則正しい生活を送ることも大切です。睡眠不足やストレスは、声帯に悪影響を及ぼします。十分な睡眠をとり、ストレスを溜めないようにしましょう。

最後に、声帯に負担をかけない正しい発声法を身につけることも重要です。ボイストレーニングを受けるなどして、正しい発声法を学びましょう。